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13 襷(たすき)をつなぐ

 自治体の首長は駅伝のランナーと同じ決められた区間を走り抜き次のランナーに襷(たすき)をつなぐ立場にあります。市制施行後の初代市長名取忠夫氏から退任後市長時代の苦労話を聞く機会がありました。

 内容は昭和29年8月1日町村合併後の智恵文地区内の美深町と合併したい一部住民の境界変更の運動。境界変更希望派は地理的に美深町に近いことで旧智恵文村を分割して美深町編入を希望していたもので、北海道は紛争解決のため道町村合併調整委員のあっせん調停に乗り出しましたが不調となり、「新市町村建設促進法」により境界変更地域内の有権者による住民投票が行われました。結果は境界変更に賛成する者が少数で市政懇談会開催などの住民説明のことを話されていました。

 昭和31年4月1日待望の市制を施行、花火を上げて道内21番目の市のスタートを切りましたが、合併前後のインフラ整備や冷害、凶作による不況で税の収納率の低下が加わり「地方財政再建促進特別措置法」に基づく財政再建団体の指定を受けることになりました。教育制度改革により新制中学校の校舎の整備などで全道的に地方自治体の財政は赤字で道内では6市、65町村が再建団体の指定を受けています。

 昭和31年度の名寄市の一般会計予算規模は3億円、市税収入8800万円で赤字3600万円の再建債の借入は年間市税収入の40%に相当するもので借入金利の半分に相当する利子補給や高率補助が国からの支援で、市の自主的な財政需要の抑制が求められ、規制枠内での財政運営が行われていました。昭和33年(1958)8月に就任の池田幸太郎市長は、国内の経済成長が地方にも波及して財政再建期間8年間の計画を6年間で再建債の償還を完了して再建団体から脱することができました。 

 再建団体から脱却後の行政の職員増大で大正11年(1922)に建設の市役所庁舎の改築では市議会を二分する建設位置をめぐる論争が展開されました。当時池田市長は庁舎の建設場所について官庁街を形成している中央通りの現在位置に拘りました。現庁舎は昭和42年(1967)6月着工して翌43年8月に完成しました。

 昭和40年代半ば以降、医科大学の医局改革紛争があり、名寄市立総合病院の内科医師の転出後の補充がつかない状況が続きました。昭和49年8月就任の石川義雄市長は、病院企業会計が昭和53年度(1978)末の不良債務9億4700万円の解消のため、昭和54年度から7年間の経営健全化団体の指定を受けました。名寄市は国から不良債務の40%に相当する4億1000万円の財政支援を受ける代わりに自らの自主健全化計画を立てて企業努力を徹底させる取り組みと旭川医科大学からの医師派遣も順次増え、計画より1年早い昭和59年度に市立総合病院の自主経営健全化計画は完了しました。

 企業会計の市立総合病院会計や下水道事業会計に対して一般会計からの繰出金増加などにより昭和56年度末に一般会計で1億3280万円の赤字決算となり、有識者による行財政懇話会を発足させて自主行財政健全化計画に反映させ、昭和58年から昭和62年まで5年間市の行政職員の補充をしないなど人件費や経常経費の節減、各種使用料などの収入増を図りました。昭和61年8月就任の桜庭康喜市長は、昭和57年から続いた行財政健全化を継続して昭和63年度に赤字解消を達成しました。

 市立総合病院の医師の充足も関係する医科大学の支援で定着する中で、増大する医療ニーズに対応するため老朽化した市立総合病院の改築が課題になりました。昭和61年には改築場所として、旧恵陵高校、短大跡地、徳田地区、南鉄道官舎地区、現在地の4箇所を検討しましたが、現在地の改築には隣接する土地所有者や建物入居者の理解協力を得て平成4年6月16日から新病院での診療となりました。新病院でのスタッフの増員や医療機器の導入増で経費が増え再び病院会計の自主健全化計画を平成7年度から8ケ年計画で不良債務9億2000万円の解消を図ることになりました。「入りを計り出を制する」自治体の財政運営の基本ですが、歴代の市長は国の経済や行財政制度の仕組みの中で市民の求める行政施策の展開に当たり、都市計画に盛り込まれたインフラ整備は30年、50年のスパンで整備されてきました。 

 「東洋経済新報社」が2010年度版都市データーパックによると全国809市区の住みよさランキングで名寄市は「安心度、利便度、快適度、富裕度、住居水準充実度」の総合評価で全国132位、北海道内35市中1位です。名寄市開拓以降の先人のまちづくりの先見性や努力を結集した歴代の首長のご尽力に改めて敬意を表し、私も若い加藤剛士市長に襷(たすき)をつなぐことができ安堵の日を過ごしています。

(終わり)

[ 2011-11-18-19:00 ]

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