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9 肉牛生産基地の夢

 昭和45年(1970)に入り国内の米の消費量と生産量の調整を図るため米生産農家に対し作付けの規制が始まりました。農地へ有機質肥料の供給と水田転作に飼料作物の作付け増対応に名寄市は肉牛飼育を農業振興計画に取り入れました。

 昭和47年10月には、智恵文北山地区の戦後開拓離農跡地に名寄市肉牛繁殖センターを建設し、この事業の運営、管理に当たる名寄畜産公社を昭和48年発足させました。肉用牛はイギリス原産のヘレホード種で150頭を年次計画で導入してこれを繁殖素牛にして1000頭の繁殖を目指しました。

 市内の農業者が日進地区(25戸)名寄地区(17戸)北山、北星地区(14戸)瑞穂地区(15戸)の肉用牛生産組合も発足しました。昭和49年から繁殖牛が農家に払い下げられ各農家が飼育を始めましたが、外国種の肉用牛の流通の未確立による価格低迷で採算が合わず、単年度の赤字を市の一般会計から補てんする事態が続き、昭和55年度末で名寄畜産公社を解散し繁殖センターの管理を個人に委託しました。

 この時期全国的に未利用、低利用地の開発、稲作不安定地への畜産への転換、林地の下草資源の活用による地域畜産の振興のため畜産基地建設事業が農林省から打ち出されました。 

 名寄、美深を適地として昭和49年から50年にかけて調査に着手しましたが、美深町はこの事業に参加せず名寄市単独で参加農家10戸により事業に参加しました。名寄市肉牛繁殖センターの公設運営から個人農家による肉牛生産基地づくりを目指し、昭和51、52両年度で牛舎、サイロ、農機具、監視舎などを整備し、4年間で繁殖素牛を一戸当たり70頭導入しました。経営の効率をねらい生後10ケ月の育成雄子牛の共同飼育施設を智恵文智南地区に建設。施設の建設は名寄市が負担し運営は農業生産法人を設立して当たりました。

 畜産基地建設事業に総事業費20億円が投じられ、国の補助約60%、北海道約20%、残りは名寄市、参加農家の負担で高率補助が魅力でした。国はパイロット事業と位置付けて成果を期待される事業でした。事業の実施は農林省の外郭組織である農用地開発公団(後に名称が変更)が草地造成や各種施設の建設を担当し、肉用牛の導入は北海道農業開発公社が担当しました。 

 参加農家により生産される雄子牛の肥育事業は昭和54年5月に農業生産法人名寄ヘレホード牧場が設立され運営に当たりました。 

 しかし肉用牛繁殖素牛70頭導入により投資された牧場農地取得、施設の負担金などの償還は最初から滞るようになりました。出産頭数の計画未達成や肥育牛の販売時の価格の低迷などで素牛の貸付代金も滞り、この事業導入を同じ時期に進めた上川町と連係をとり、北海道、国に対し償還条件の変更など要望行動を展開しました。当時農林省が北海道内で推進した畜産基地建設事業に12地区、22市町村が参加しましたが総じて事業計画どおりの経営とはならず政治問題にまで発展した。

 国や北海道、北海道畜産公社へ償還、返済する負担金や代金については、事業採択要件で市議会の「債務負担行為」の議決が義務化され、参加農家の納入が滞っても市は国や農業開発公社に対して支払いが遅れると違約金が課されるもので、市の立替払いを余儀なくされました。道内の畜産基地事業実施市町村が国、道に対し負担金の軽減や資金の貸付などを繰り返し要望しましたが、借換え資金の制度創設などで負担額の軽減につながらず、参加農家の借換え、農協の融資もスムーズに進みませんでした。

 市議会では畜産基地問題特別委員会の設置や所管する経済常任委員会などで経営の安全策や市独自の支援策について論議されました。参加農家3戸の離脱など問題は深刻で大胆な支援策を提示することになりました。

 私は昭和60年4月から平成元年3月まで経済部次長、経済部長として畜産基地問題を担当し、国の政策に手をあげて事業を進めた責任と参加農家の経営安定に、名寄市独自の改善策として償還負担金の市負担の引き上げと金利負担助成策を打ち出し、参加農家の経営意欲の向上を図りました。

 具体的には償還負担金の2分の1と償還金利3・5%以上を市の負担とするもので、参加農家と償還約定の交換により納入が図られました。市の立替払いをしてきた債権の放棄について平成12年9月定例会に提案しました。私の市長の任期12年11月を目前にこの議案の取り扱いを確定させ2期目に臨みたいと決意しての提案でした。市議会は特別委員会を設置し債権放棄の取り扱いについて慎重審議となりました。

 昭和45年水稲の生産調整に始まり、転作する農家の経営安定のための肉牛生産の振興策は、導入した肉牛の飼育技術や販路の開拓など参加農家の努力が報われない事業となりました。

[ 2011-11-04-19:00 ]

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