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2004年1月26日付

イースターで大移動

第6回

 朝10時に船は河口に入り、中程にある小さな、造船所のドックに着いた。「この船も、このドックで生まれたのよ」とサザン・シッピングの女社長(ジュディによく似ていた)は言った。
 「どうでしたか?フリンダース島は」と聞かれた。私がスケッチブックを見せると、喜んでくれた。皆に別れを告げ、ブリドポートのキャラバンパークに向かった。途中、ベーカリーでアツアツのミートパイを買った。おばさんは私を覚えていた。1個2ドルくらいだ。
 キャラバンパークのオフィスで、元サーファーの管理人氏も私を覚えていて「どうでした、フリンダース島は?」(ディドュー・ハブ・ナイス・タイム?)と言った。料金は前よりさらに安くしてくれ2日分でたった10ドルだった。「明日から連休で人が来てうるさくなるよ、イースターだ」。管理人氏も多忙になる。イースターの間は、店は休みになるし、郵便馬車も動かなくなる。
 銀行も休み、車が増えて道は走りにくいうえに危なくなる。私は連休が終わるまで、この辺でブラブラしている事に決めた。スーパーが休みになってしまうので、四日分の食糧とビールを6本買った。ガスボンベはスペアもないので、パンを多めに買った。
 夕方、テントの横でビールを飲みながら、海を眺めた。すぐ前ははビーチだ。遠浅なので子供達が水浴びしたり、泳いでいる。連休は民族大移動の期間であるのは日本と同じ。もっとすさまじいような気がする。何せ、もともと遊牧民の血を引く民だから、農耕民族の日本人より、もっと気軽に移動するし、引っ越しもする。
 家も自動車みたいにどんどこ買い替えるのだ。彼らに比べたら、日本人はガキみたいに移動しない。会社の転勤で仕方なく移動している感じだ。
 軽トラックや車の後ろに荷車やら、キャラバン、トレーラーハウス、ボート。はなはだしいのはセスナ機まで引っ張って、100キロくらいのスピードで走り回っている。移動に対する情熱が車を発明し、車社会を作ったのではないかと、私は勝手に想像している。
 とにかくウエスタン・シビライゼーションは徹底した車文化だ。極限までそれが発達している。
 日本まだは発達中で、ほどほどの所でとどまると思う。西洋化と言っても完全に西洋化する事はあり得ないからだ。この移動民族のテントに対する情熱もすさまじいものがあり、極限にまで発達し、普通の文化住宅並みの内容だ。「そこまでやるんなら、何もキャンプする事はないだろう」なんて私なんか思ってしまうが、それは日本人的発想である。
 電子レンジから、コーヒーメーカー、皿洗い器まで備えたキャンピングカーを見て「なんだこれは」なんて私は思う。でも彼らは、それをビーチに引っぱってきて、喜々としているのだ。

(写真=まるで住宅のようなキャンピングカー)

著 者 紹 介
 栗岩英彦さん(59)の「オーストラリア自転車の旅・パートU」をシリーズで掲載します。栗岩さんは長野県出身。東京農大卒。会社員生活のあと「世界一周の旅」を目指しインド、アフリカ、アフガニスタン、パキスタン、ヨーロッパ、南アフリカなどを訪問。平成3年下川へ。7年から北町でレストラン「モレーナ」経営。14年2月から4月までオーストラリアのタスマニア島(州)を自転車旅行。同島は北海道とほぼ同じ面積。旅行記は同島に近い小さなフリンダース島から始まる。

[ 2004-01-25-19:00 ]
 
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2004年1月

第1回「旅先で知り合い食事」
第2回「大魚に戦いを挑む」
第3回「村に1軒のレストラン」
第4回「友人と別れ、また一人旅」
第5回「冒険小説そっくりの船」
第6回「イースターで大移動」
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