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2004年1月12日付

友人と別れ、また一人旅

第4回

3月27日・レデイ・バロン→ブリド・ポート・船
 朝、まだ未明に沖合いから船のエンジンの音がして目がさめた。テントの外に出てみると私の乗る貨物船のようだった。船の灯りは近づいてこず遠ざかっていくようにも見えた。「クソ!乗り遅れたか」と一瞬思った。でも、サザンシップカンパニーにホワイト・マークからTELした時は正午に出航の予定という筈だったから、船は入港しようとして満潮を待っているに違いないと、またテントに入って眠った。
 8時くらいに港に自転車で行ってみた。見覚えのある、青い貨物船が入港しており荷を下ろしていた。見覚えのある船員にいつ出航するのかと聞くと、正午より遅れて今夜9時か、あるいは次の日の朝になるかもしれないから、あとでまた来てくれという事だった。
 貨物船は積荷の関係とか、潮の状態で出航日とか時間が常に変動する。電話を持っていれば事務所の方から決定次第、出航前に連絡してくれるのだが、不便な土地をキャンプしながら自転車で旅している私には、インポシブルだ。
 正午にまた、港に行き、サザンシップカンパニーにTELしてみた。「今夜11時頃に出航する事となったけど、船の乗務員に直接聞いて下さい」という事だった。キャンプ地に戻って、ジェイクとヘイゼルと一緒にキャンプ地の海の見渡せるテーブルで食事した。 
 魚は3枚におろし、半分に切ってオリーブ油でソテーにされた。私は残りのタイ米のボイルドライスにタイカレーのペーストと塩とオイルサーディンとヒマワリの種をまぜて、ライスサラダを作った。各自の皿には、魚のソテーとニンジンとチーズのサラダ、それに私のライスサラダが盛られた。
 大変に魚は美味で、うれしかった。それにしても逃がした2匹はそれ故に惜しかった。食事の後、釣りに行った。河口まで行ったが引き潮で釣りにならないので、イエロービーチ(キャンプ地)に戻った。昨日の雨で湿った衣類やスリーピングバッグを乾かした。午後3時にまた港に行き、船長に聞くと「今夜9時までに来てくれ」と言われた。キャンプ地にもどって2人とお茶を沸かして飲んだ。そのあと2人はフリンダース島の東海岸に向かって出発した。手を振って別れた。
 私は別れる時に、持っていた釣り道具をジェイクにあげた。彼らにはネセサリイでこれから大いに役に立つだろう。大物のトローリングは別として、見たところ日本製の方が優れている。
 また1人になってしまった。夕方になると海からの風が強くなった。夕焼けが美しい。テントをたたんで、キャンプ場の無人小屋で夕食を作って食べた。時計をトラウザウスポイントで落としてしまい、時間が分からない。小屋の窓から港と荷物船が見える。しかし、日没は8時頃なので大体の見当はついた。
 日没を見て、それからお茶を飲んで出発した。港までは2キロしかないのですぐに着いた。9時に乗船した。すでに乗客が3人いた。2人は来る時に一緒だったMr・レックスとMrポーチだった。「生きていたかい、日本人よ!」と2人は私の肩をたたいた。握手をし、片時も離さぬ缶ビールをグイと飲んだ。あとの1人は年配の紳士だった。
 ジーンズにスポーツシャツというラフな服装ながら、紳士には紳士の風格が自ずと伝わってくる。ハリスと名乗った。物静かな人で丁寧な気遣いをした。間もなく船は出航した。
 2週間近く旅したフリンダース島とも、これでお別れだ。また来ようと思いながら、遠ざかるレディーバロンの灯りに別れを告げた。 
 太平洋に出ると船は揺れ始めた。私はスリーピングバッグに入り、早々と眠った。

著 者 紹 介
 栗岩英彦さん(59)の「オーストラリア自転車の旅・パートU」をシリーズで掲載します。栗岩さんは長野県出身。東京農大卒。会社員生活のあと「世界一周の旅」を目指しインド、アフリカ、アフガニスタン、パキスタン、ヨーロッパ、南アフリカなどを訪問。平成3年下川へ。7年から北町でレストラン「モレーナ」経営。14年2月から4月までオーストラリアのタスマニア島(州)を自転車旅行。同島は北海道とほぼ同じ面積。旅行記は同島に近い小さなフリンダース島から始まる。

[ 2004-01-11-17:00 ]
 
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2004年1月

第1回「旅先で知り合い食事」
第2回「大魚に戦いを挑む」
第3回「村に1軒のレストラン」
第4回「友人と別れ、また一人旅」
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