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2004年12月20日付

ひとり、森へと向かう

ドイツ-フランス編 第5回

 バート・ヴェリスホーフェンでの3度目の食事は、残念ながら三度目の正直とはならなかった。何を食べたのかよく覚えていない。朝食以外は、飲み物を自腹で別に頼むシステムなのでアプフェルショーレというリンゴソーダを頼んだのは記憶している。こちらではポピュラーな飲み物のようだ。甘ったるくなく、飲みやすい味。そういえば店員さんが民族衣装だったっけ。

  昼食後、「野生動物に親しむ週間」プログラムが始まるまでの1時間ほどの空き時間を利用して、コーディネーターの香川先生(森林総研)の講義があるという。参加者からの要望で急遽決まったとのことだ。歩きたくてうずうずしていた私は別行動を取ることにした。妻も誘ったが彼女は講義を聞くという。どんな内容か興味はあったのでちょうどいい役割分担になったが、ちょっと寂しい気もする。

  妻はにぎやかな人だ。彼女の周りには笑いとアクシデントが絶えない。今回の旅でも早速パスポート審査で捕まっていた。きっとかなり笑えるやり取りがあったに違いない。日本人の私との会話ですら、「ジョン」と私が言ったのを「ドン?」、「ロン?」、「ボン?」と3回も聞き間違えるのだから。審査官の方、お気の毒に…彼女は日本人ではなく、宇宙人なのです。

  ひとり別方向に歩き出す。自然と足が例の道へと向かう。緩やかなカーブが森へといざなうあの道だ。さっき引き返したポイントに戻る。そして歩き出す。風景が私の歩に合わせて動く。遠近の動きだけではなく、森を眺める角度もカーブに合わせて移り変わる。

  この風景の移り変わりが、心理的には重要だと森林療法研究家の上原先生はおっしゃっていた。自分が起こした「歩く」という行為によって風景が移り変わり、あたかも自分の抱えている問題までもが前向きに変化しているように感じる。

  遠景が近景となり、森へと足を踏み入れる。ベンチがあり、案内標識が立っている。ウォーキング・コース用の標識は、サンダルの絵が描かれているものと、ノルディックウォーキングの絵が描かれているものの2種類で、その他に通りの名前らしきものが表示されている緑の標識もあった。すべてが1本の白いポールに取り付けられていた。

  少し歩くとバス停とバスの時刻表・路線図があった。歩くのに疲れた人はここでバスを待ち、ここから歩きたい人はバスに乗ってくるのだろう。このバスは市街地では電気、郊外ではガソリンエンジンで走る「ハイブリッドバス」だそうだ。日本では奥日光の国立公園内を走る低公害バスに乗ったことがある。下川にも走らせたい。

  また、バート・ヴェリスホーフェンでは、トラックやオートバイなどが市街地へ乗り入れできないように条例で定められている。いずれも清浄な空気と静けさが売り物の保養地として必要なことだし、それは、そこに暮らす住民の福祉のためでもある。

  このまちでは人々の暮らしと環境が調和し、それが経済発展の原動力になってきたのだ。

(写真=森の中にたたずむベンチと案内標識)

[ 2004-12-19-19:00 ]

 
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2004年12月

第1回「ドイツと言えば」
第2回「寒さで緯度の高さ実感」
第3回「クアパークを歩く」
第4回「クアハウスにて」
第5回「ひとり、森へと向かう」

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