 |
 |
人はペットに対し家族同様に愛情が芽生え、病気や事故で死んでしまうと、家族で涙を流したという話をよく聞く。特に犬ほど飼い主に忠実な動物はないと言われるが、ただ忠実なだけでなく、恩義を忘れない動物としても知られる▲友人から聞いた話。放し飼いが当たり前だった戦後の食糧難のころ、自宅の雑種に子犬が生まれ、数カ月してその子犬を郊外に捨てたという。数年後、見慣れぬ犬が路上に現れ、「ワンワン」と付かず離れず▲不思議に思い、その犬の顔を見ると、犬の方もこちらを見ている。そのうち友人は「あれ!この犬は数年前に捨てた子犬だ」とびっくり。どこかの家庭に拾われ、飼われていたというのだ▲人間が既に忘れていたのに、子犬の方は昔の家族の一人である友人の顔を覚えていた。犬のきゅう覚は、人間の数千倍とされるが、友人の話を聞いてきゅう覚だけでなく記憶力のよさにも驚かされる▲主人が急死後も毎日、駅まで主人の帰りを待ち続けて話題となった渋谷駅前の「忠犬ハチ公」の話は、あまりにも有名。「三日、犬に餌を与えると、三年その恩義を忘れない」という趣旨の話を聞いたことがある▲「ペットと人間」の関係が純粋・無垢(むく)であるのに比べ、「人間対人間」の関係は、何と打算に満ち殺伐としていることか。いささか情けない気がする。
[ 2008-03-06-19:00 ]
|
|
 |
 |
|